朝目覚めると、朝日が昇りかける頃で
赤紫に染まった美しい空が目に飛び込んだ
桟橋の上だという事もあるだろうが
やや肌寒く感じるほどの目覚めだった
見ると弟が野犬と戯れている
もしかすると図体のでかい彼がいたからこそ安全な夜を過ごせたのかも知れない
海の水の透明度はやはり極めて高く
少し離れたところには、背びれだけが海面から突き出した魚影を発見
サメかイルカかわからないが驚いた
昨日フルーツ店で購入したスナックパインを食べながら身支度して
とりあえず海岸沿いを歩いてみた
ただどうにも浜辺を挟んだ先には
民家としか思えない建物が続く
どうやらプライベートビーチのようで
ここを歩くことすら本来許されないと気づく
とはいえ、もうすでに随分と来てしまっていた、戻るのもまた同じ事だ
わざとではないが、良くないこととは知りながら
誰かの邸宅を通過して道に出ることにした
留守に見える家の敷地を通過する
しかし、家主に遭遇してしまった
当然
「何してるのあなた達?」
そう叫んだ婦人の顔は怒りに満ちている
恐怖で曇っていたわけではなくてまだ良かった
タヒチの銃事情は知らないが、場所が場所なら
問答無用で発砲されても文句は言えない
とりあえず速やかに事情を説明すると
今から外出するから早く出て行ってと厳しく言われた
後に続くメンバーに早くこちらに来るように手招きをした
先ほどまですぐ後ろを歩いていたのに、気が付けば随分な距離が開いていた
大声で促す
遠目にも至って真剣な仕草は伝わったろうに
されども彼らは、呑気にぺちゃくちゃとおしゃべりをしながら横一列で歩いている。
こわばる婦人の顔とは対照的に
彼らには彼らだけの時間が流れていた
彼らの歩みがまるでスローモーションのように映った…。
チャーリーズエンジェルか、お前等は!
(年代の古い方は西武警察をイメージしてください)
焦る俺と呑気な彼らというコントラストに
婦人も思わず笑っていたのがせめてもの救いだ
そんなこんなで公道まで出て少し歩くと
都合良く店屋があった
そこで朝食を取ることに
いつ来るかも解らないバスを待つか、タクシーを待つか
話し合うがなかなかまとまらない
先ほどのことといい、このことといい
メンバーの大半が羊だw
放っておけば興味のある事柄に脇目を振らず猛進してしまう
俺は羊飼いになることを決意した
とりあえずホテルが観光案内をやっているケースがあるので
近くのホテルに聞きに行った
あまり刺激を与えるとバラバラになるので
俺が一人で行くことにした
ホテルのラウンジで交渉すると、小型バスを手配して峠などを観光するツアーを取ることができた
海が美しいタヒチで、あまり注目されないだろう山岳観光が貴重に思えた
※かなり先がとがっている山が多かった、中央は一際高い山
小型バスから見える素晴らしい車窓
皆ほんとうにはしゃいでいた
最初に18号の希望で、ワイン工場へと向かったが、残念ながら休みだった
昼から試飲でただ酒を飲んで更に弾みをつけたかったのだが
※山の輪郭が女性の横顔に見える、自然が○○に見えるシリーズでは良くできたほうかな
その後ポイントポイントのビーチに立ち寄りながら
モーレア島の2つの湾を見渡せる高台を目指す
輪郭が女性の横顔に見える山を遠めに眺める
美しい曲線は確かにそれを思わせるし、よく見るとご丁寧に鼻の穴まであった
山の高台までの道中には
いくつかのパイナップル畑があった
その中の一つに入って見学
パイナップルの葉は非常に鋭くて切れ味があるので、開放的な服装のメンバーは入ることが出来なかった
ドライバーが一つもぎ取って私達にプレゼントしてくれたが
普通に果実泥棒だろそれ!
日本では見られない木々の森を抜けて
高台に到着した
何組かの先客もいて、人気のポイントのようだ
山頂が尖った山に割られたように、左右に湾が見えた、ドライバーによると
その湾沿いを通過してきたのだそうだ
ここからでしか見えない景色だと認識すると
とたんに貴重な景色に感じる
※展望台からは2つの湾を一望できる、オススメポイント
さて、深い緑と遠景を堪能したところで
次はお待ちかねのタヒチの碧を見に行く
モーレア島で一番人気のパブリックビーチを目指す
それはやっと羊の群を放牧できることを意味する
運転手は最後にビーチを一望できるポイントで降ろしてくれた。
広がる景色はパンフレットで見るような美しい碧に水上コテージが浮かぶ
まさにリゾート楽園だった
※砂浜はまずまずの白い砂、少々小石があるので歩くさいは注意
灼けた砂に足の裏を火傷しそうになりながら荷物を降ろして海へ飛び込む
水は透明度が高いし、温度も心地よい
深さも浅瀬から深いところまであって、自分にあったスタイルで楽しめる
海水も塩分濃度が高いからなのか
体は浮きやすかったように思う
もっとも船旅の運動不足で育った脂肪が浮き輪の機能を果たしていたのかも知れないが
珊瑚礁の周りには小魚達が集まっていた
朝食で余ったパンを千切って与えると
一斉に集まってくる
海の綺麗さや泳ぎやすさなど
どれをとっても今まで経験した海水浴で一番素晴らしかった
※少し沖まで行った友達が撮った写真、透明度は更に高くなる
心地よい疲れを感じる程度にくたびれたのでタヒチ島へ帰ることに
遠目に見えるタヒチ島は高く発達した入道雲に黒く覆われていて
昼の明るい中でも稲妻の閃光がみえた
こちらは快晴そのものだったのに…。
タヒチ島のツアーを取った者から後で話を聞いたところタヒチ島の天気は荒れ気味であったようだ
とにかく運が良かったが、命運を分けるとはこの事か
ビーチの近くのホテルでタクシーをチャーターして、タヒチ島への船着き場の近くのスーパーへと向かった
さすがにスーパーは現地通貨のみしか使えないし物価も高め
このリゾート地に住む人たちは豊かな人々であろうから仕方がないか
タヒチの後は横浜まで2週間あるので
とりあえずいろいろと購入しておいた
船着き場に近いとはいえ、重い荷物を持って歩くのはしんどい
皆でヒッチハイクを試みると、結構すんなりと止まってくれる
何台か捕まえて女性優先で送り出す
車通りが少なかったので
俺とゼブラは結局乗車できなかったが
それでもとても面白い体験だった
タヒチ島に到着すると
真横のドッグに停泊しているオセアニック号で解散となった
まだ時間があるので荷物を降ろした後に有志でお土産の物色、飲みに行った
やっぱりお土産物には惹かれなかったが
どの寄港地でも思い出という土産はいっぱい集めた
バーでさわやかなカクテルを飲みながら
酒と日焼けで赤らむ皆の笑顔と夕日に焼かれた空
タヒチでは印象的な土産を手に入れた
次の寄港地は横浜
- 完 -
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